中央線特急の全席指定制は果たしてお得?【ダイヤ改正前と比較】

中央線特急として使われるE353系
E353系「あずさ」・「かいじ」・「富士回遊」

2019年3月のダイヤ改正から「あずさ」・「かいじ」に新たに「富士回遊」が加わり、なおかつ全席指定制となりました。中央線の特急の中で大きな改革が行われたわけですが、全席指定制にしたことでこれから先輸送体系に大きな変化が見られるのでしょうか。

今回は中央線特急の全席指定制へとなった経緯から、ダイヤ改正前との比較で全席指定制は果たしてお得な制度として続いていくのかを検証していきます

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中央線特急の全席指定制に至るまでの経緯

なぜ中央線特急で全席指定?

2019年3月のダイヤ改正以前は自由席と指定席(グリーン席含む)の2つが存在していました。もともと中央線特急は長野県の松本までのアクセス目的としてあずさ」、山梨県の甲府までの沿線需要を高める目的としてかいじを運行しており、繁忙期で座席を全席にしなくても本数を増やすことで需要と供給のバランスを保っていたのです。

しかし少子高齢化などによる社会情勢の影響、鉄道会社での人件費削減の取り組みとして自由席を撤廃する動きが徐々に他路線でも見られるようになりました

2019年3月のダイヤ改正以前では常磐線・高崎線(スワローサービス)ですでに全席指定制を導入している状態になっており、早い段階から利用者の多い中央線特急でも導入を始めることをすでに視野に入れていたのではないかと推測しています。

自由席制度の廃止でライナーも特急へ

2019年3月のダイヤ改正以前は「中央ライナー」・「青梅ライナー」といった510円のライナー料金を払えば必ず着席できるライナー列車が運行されていましたが、全席指定制によって特急「はちおうじ」・「おうめ」へと変わりました。 平日の早朝・夕方に運行するのは変わらずライナーから特急へと格上げされる形になりましたが、本数も従来のライナーから全体的に減らしています。

全席指定制とともに料金見直し

自由席と指定席との区別をつける必要もなくなったため、特急料金も全面的に見直しすることにもなりました。

今までは利用する区間内での指定席料金と、その指定席料金から520円引きした値段を自由席料金として設定していましたが、自由席を廃止した後は新しく事前料金と車内料金の2つに新規設定されています。(グリーン車は対象外)

中央線特急料金表
JR東日本「中央線に新たな着席サービスを導入します」より抜粋

そしてダイヤ改正後から指定席特急料金と同価格の座席未指定券を新たに発売しました。座席未指定券は座席の指定を受けてなくても空いている席があれば座れる特殊な切符のことで、簡単に言えば指定席券と自由席券の両方を兼ね備えた切符ともいえます。

利用する日にちは決まっているけど、時間帯や列車が特に決まっていない場合は座席未指定券を使うのが便利です。しかし繁忙期などで座席が満席になることが予想されるときには座席未指定券はほぼ意味がないので指定席券を購入する方がむしろ良いとされています。

全席指定はお得?

ここまで指定制になるまでの変遷と料金改定の実態を見てきましたが、果たして全席指定はお得なのでしょうか?

結論から言うと、全席指定制の方がお得です!

「いやいや、自由席のほうがぶっちゃけ安いから全席指定にする前の状態が良いのでは?」と思うかもしれませんが、全体を見通して全席指定の方がお得なんです。ただしお得だと感じるためにはある条件を満たすことが必要です。

それも踏まえて全席指定制のメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

確実に座れる

指定席だと発券の際に指定された席に確実に座れます。(当たり前ですが)

自由席だと列車に乗り込んでも座れるかどうかの保証がついていないので、座席確保のためにホームに並ぶなんていうことも日常茶飯事でした。しかし指定席の場合はわざわざ並ぶ必要もないので、発車時刻に気をつけて間に合えば確実に座れます。

E353系の普通席

もちろん誤乗車防止のために各席には座席ランプがついています。ランプは座席上部にあり席の埋まり具合はこちらで識別できます。

座席上部にある座席ランプ

左から赤色・黄色・緑色の3色のいずれかが点灯するので、乗車して空席かどうかも一瞬で判断できます。

赤色・・・空席

黄色・・・まもなく指定席発売済みの区間

緑色・・・指定席発売済み

チケットレスサービスを使えばさらにお得!

えきねっとのチケットレスサービスを使えば、通常の事前購入よりもさらに安く乗ることができます。チケットレスサービスだと割引が適用され通常の特急料金から100円引きされます。

またえきねっとトクだ値を使えば10%割引、お先にトクだ値なら30%割引となるので旅行や帰省で利用するのもおすすめです。ただし発売期間に制限があるので利用の際には注意事項をよく確認しましょう。(えきねっとのトクだ値について

デメリット

切符の制約

チケットレスサービスも含め、指定席券を購入する際の制約がいろいろ存在します。事前料金と車内料金とで料金も異なりますし、発売期間にも注意しないと切符が買えなかったりもします。

事前料金と車内料金の差が割高になってしまうのは他路線でも適用されていることなので仕方ありませんが、座席未指定券を購入する場合は要注意です!

座席未指定だったときの料金は指定席特急料金と同額ですが、指定席券との違いとして満席だった場合の払い戻しは不可となっています。(指定席は可能)

安いと感じるのは利用距離200kmまで

利用距離が200kmまでなら指定席購入でお得に乗ることができます。とはいってもほとんどのあずさ・かいじ・富士回遊の運行区間は200km圏内で収まるので山梨(甲府)や長野(松本)までならお得に利用できます。

しかし中には1日1往復で新宿~南小谷のあずさに加えて、臨時で長距離を走る特急列車も存在します。200kmを超えるとダイヤ改正前の料金と比較して割高になってしまいます。

全席指定制は一見安くなったように見えますが実質的には値上がりをしているので、長距離で利用する場合はチケットレスサービスや株主優待券などを駆使して料金を安くすることも重要です。

まとめ

中央線の特急は需要が高い分、供給もそれなりに確保はされています。しかし速達性の重視やコスト面などで自由席が廃止されて全席指定制となっても需要が減るわけではありません。

運行側や利用側の双方にメリットが生まれるように改革もされたわけですが、これがどう働くかは今後の社会情勢と利用者次第というのが実態としてあります。

なにはともあれ中央線の特急はアクセスにも便利なので一度利用してみるのもいいでしょう。

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